コ トノハ
















気持ちを言葉にするのは難しい。
本心を他人に伝えるとは、すごく怖いことだと思う。
それに、けっこう恥ずかしい。
ほんと、心からそう思う。








だけど―…
















***
















「俺、 のことめちゃくちゃ好きだなぁ〜!」
「またソレ言ってる…恥ずかしいからやめてって、いつも言ってるのに」
「何でだよ!ちゃんと理由言え!」
「いや恥ずかしいからって言ったじゃん。面と向かって言われると困るの。分かる?」
「う〜〜〜〜〜ん………」
















プシュゥ〜…
あ、ルフィの頭から煙が出てる。
理解できない言動に、彼の頭がショートを起こしているようだ。








ルフィはしばらくぐるぐるして、
そして何かひらめいたのか、手をポンと叩いた。
















「うっし!分かった!」
















ルフィはそれだけ言って、どこかへ行った。
何が分かったのかよく分からなかったけど、理解してくれたのなら問題はない。








と思った私が馬鹿だった。
目の前に手が現れたち思ったら、視界が真っ暗になったのだ。















「何…!?」
「ししし」















後ろから、楽しそうなルフィの声。
どうやら視界を遮っているのはルフィの手らしい。
















「ルフィ!?何のつもりよ!」
「面と向かって言われたら困るんだろ?これなら顔は見えねェ!俺天才かも〜〜〜」
















『面と向かって言われたら困る』
確かに私はそう言った。
多分、いや確実にルフィは何か勘違いをしている。







相手の理解力を量り損ねた。
相手がルフィ≠ナあることを忘れていた。
落ち度は私にあったのだ。
















「とりあえず手、どけて」
「んー」
「もう。相変わらず馬鹿なんだから…」
「失敬だなお前! が恥ずかしがるから俺なりに考えたんだ!」
「ハイハイ、ごめんね」
















私がそう言うと、ルフィは頬を風船のように膨らませた。
比喩表現じゃなくて、本当に風船のように。








だが、それもすぐに空気の抜ける音を立てながら萎んだ。
そしてルフィは、小さく言った。
















「だって、ずりぃじゃねェか」
「何が?」
「俺は から『好き』って言われたことねェんだぞ!」















ルフィは声を張り上げてそう言った。
怒気は感じないけど、呆気にとられた。
















「…だって、言わなくても分かるでしょ?付き合ってるんだし…」
「馬鹿かお前!そーいう問題じゃねェんだよ!」
「馬鹿に馬鹿って言われるほど落ちちゃいないわ!撤回しろっ!大馬鹿!」
「うるせぇ!俺から『好き』って言うのも禁止されてたまるか!」
















ほとんど無呼吸でお互い言いたいことを言い合ったせいか、激しく疲れた。
荒い呼吸を整え、声のトーンを少し下げる。
どうやらルフィもそうしたらしい。
呼吸を整えながら、私にこう言った。
















「気持ちは言葉にしねぇと…伝わんねェだろ…」
「………でも、」
「じゃねぇと!」
「ッ…」
「俺だけがお前のこと好きみたいじゃねーか!!」
















ルフィは本日一番大きな声でそう言った。
声の大きさにもそうだけど、私は彼の台詞に呆気にとられてしまった。








だけど、考える間もなく自然と言葉がでてきた。
















「…ごめん」















まずは、ひとつめ。
そして、ふたつめは―…















「ちゃんと好きだよ、ルフィ」















気持ちを言葉にするのは難しい。
本心を他人に伝えるとは、すごく怖いことだと思う。
それに、けっこう恥ずかしい。
ほんと、心からそう思う。








だけど―…
















「しししっ。俺も! が好きだ!」
















交し合う言葉は、心地よかった。



















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*あとがき*


初ワンピ夢はルフィで!
めちゃくちゃ書き直しました…
口調もそうだけど、内容が一転二転三転…どんだけ。


一発目はルフィが風車村を出る直前の話で切ない系。
二発目はルフィが矛盾だらけのことを言ってラストは甘。
上二つでルフィ無理!と思った櫻井は、
三発目でサンジのチャーハンが食べたいヒロインを書こうと、サンジに逃げようとした。


けど、今回の内容にしてからすらすらと書けたんで、
やっぱりルフィに戻ってきました。
これからブログでちょいちょいワンピ夢載せられたらなぁと思います。


上の3つもいつかちゃんと書きたいところ。
三発目のサンジ夢の内容は、ただの私の願望です。
だってサンジの料理めちゃくちゃ美味しそうなんだもん!










(080217)
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